2011年 管理栄養士ヨーロッパ研修 2011.3.3

Posted by: | Posted on: 9月 3, 2014

ツアー名:管理栄養士ヨーロッパ研修
訪問都市:ミュンヘン・パリ
期間:2011年2月22日(火)~2月28日(月) 7日間

 日本の栄養士は、疾病の一次予防の専門家としての活躍以外にチーム医療の一員としてNST(※1)での栄養サポートメンバーとして期待されています。日本の病院でNSTが組織されたのは2006年ですが、欧米では1970年代に始まっており、その活躍は目覚しいものがあります。今回の研修では、NST先進国であるドイツの大学病院を中心に医療現場で働く栄養士の活躍の一端を見学致しました。

 ドイツでは栄養士の職務範囲は日本に比べ広いです。
日本の病院では基本的に医師からの指示を受けて栄養士が献立を作成します。しかし、今回訪問したミュンヘン大学付属病院(ドイツ有数の大学病院であり南ドイツ医療の中枢病院)で働く栄養士は医師の指示だけではなく、栄養士側から医師へ提案することも可能です。
実際に手術後の患者に関しては、栄養士から医師に対して提案を行うことが多く、一日でも早い患者の退院を目指しています。
また、日本に比べ携帯端末等利用したシステムも発達しています。患者の栄養摂取状況に関して携帯端末を利用して患者ひとりひとりの栄養摂取状況(カロリー、ナトリウムの摂取状況、アレルギー情報など)を閲覧出来るシステムを取り入れております。

 また訪問した老人ホームでも、栄養士の地位がある程度確立されており、メニューは調理師が作成し栄養士が最終的に確認をしています。
尚、老人ホームに入居している老人の中には糖尿病などの生活習慣病患者も多くいるが、食事制限は特にしておらず、飲酒・喫煙に関しても制限を行っておりません。
その理由として、入居している老人は皆高齢のため、それらを禁止する必要(長生きするような生活をさせる必要)がないからだということです。
日本では、健康を第一優先するのに対し、生きる上での楽しみや精神的な安らぎを損なわないよう配慮している事も印象的でした。

 医療に対する考え方や栄養士の医療への関わり方に関して日本との違いが多く見られました。しかしながら、欧州内の栄養士の社会的地位もまだまだ低く、彼らの地位の向上は日本と同様に今後の課題となっています。

(※1)NST:Nutrition Support Team:職種の壁を越え、栄養サポートを実施する多職種の集団(チーム)である。栄養サポートとは、基本的医療のひとつである栄養管理を、症例個々や各疾患治療に応じて適切に実施することである。





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